トリドールグループのDXを推進する組織として、DX推進室、情報セキュリティ推進室、データマネジメント推進室の上に、さらにビジネストランスフォーメーション本部を設置した体制をとっています。ビジネストランスフォーメーション本部本部長は、磯村康典執行役員CIO/CTOが兼務し、DX戦略や方針を策定し、施策の有効性を検証します。常勤12名体制で業務改革プロジェクトを推進し、BPO/SaaSベンダーが各種デジタル基盤を運用しています。

社内のIT人材としては、経営理念へ共感し、デジタルに抵抗感を抱かずにリスキリング意欲のある方が好ましいと考えます。また、すべての職種において大切な基本的なスキルは「コミュニケーション力」です。他部署や経営陣のみならず、ベンダーとのコミュニケーションがプロジェクトをスムーズに進めることができるかの鍵となります。トリドールグループは、以下の職種ならびに求める人材像が必要なDX人材と設定しています。
職種 | 求める人材像 |
|---|---|
ITストラテジスト | 経営理念、経営戦略を踏まえてDX戦略を構想し、全社的な旗振り役(CIO候補) |
システムアーキテクト | DX戦略の実現に最適な技術を組合せて、システム全体構造を構想できる人材(CTO候補) |
ビジネスアナリスト(兼プロジェクトマネージャ) | 事業や業務の目的や目標を理解して、各ステークホルダーと合意形成しながら、プロジェクトを推進する人材 |
データマネージャー | データレイク、iPaaSを活用し、SaaSやAIが活用できるデータ環境を構築できる人材 |
セキュリティマネージャー | ゼロトラスト、脅威インテリジェンスなど最新のサーバーセキュリティ技術を活用しつつ、ISMSやPIMSをリスクマネージメントシステムを運用できる人材 |
AIエージェントエンジニア | AIベンダーと協業し、各部門の人が実施している業務を自立したAIエージェントへ移行するプロジェクトを推進できる人材 |
トリドールホールディングスのDXは、SaaSやBPOが中心となっており、DXのパートナーは非常に重要です。情報セキュリティ面はもちろんのこと、当社と共にサービスをブラッシュアップする意欲のあるベンダーやグローバルに交渉する力を持ったベンダーと協働していきたいと考えています。
サービス | ベンダーの選定基準 |
|---|---|
SaaS (地域・業種限定) | 当社と共にサービスをブラッシュアップする意欲のあるベンダー |
SaaS + BPO | ITサービスとBPOを組合せて、業務プロセス全体を最適化できるベンダー |
SaaS (グローバル) | 多言語、多通貨、マルチリージョンに対応したグローバルベンダー |
iPaaS/PaaS/FaaS | サイバー耐障害性と拡張性に優れたグローバルベンダー |
BPO | 安定して人材を確保し、規模や業務の変化に対して柔軟に対応できるベンダー |
営業10年の社員がDXのプロジェクトリーダー
DX推進室の窪田伸行は、店舗の従業員のワークスケジュール(WS)を自動生成するプロジェクトのリーダーを務めています。この仕組みにより、店長は負担の大きいスケジュール作成・管理から解放されることを目指してプロジェクトはスタートしました。
窪田がDX推進室に異動になったのは、2021年9月のことでした。以前は丸亀製麺の4つの店舗で店長を経験し、その後本社へ異動、営業部を支援する部署で10年勤め、IT関係の経験はありませんでした。そこでDX推進室に配属後は、新しくITの専門用語からはじまりIT分野全般を学習し、ITパスポート取得などに取り組みました。しかし同時に、リーダーとしてプロジェクトも進める必要がありました。
店長経験者であるためWSの作成自体には詳しいものの、さまざまなケースが存在するため、社内の聞き取りを行い、自動生成のための要件定義は困難を極めました。特に社内の関係部署との協議、また社外のベンダーとの協議など、IT技術を駆使するというよりは社内外の人たちとの業務の検討やその調整、システムに求める要件の交渉がプロジェクト推進の要となりました。また窪田は、同時に社員向けeラーニング導入と優待券電子化のプロジェクトリーダーも務めており、複数の業務をマルチタスクで進めていく必要がありました。
自身の経歴上全くの新しい分野に配属された窪田でしたが、「デジタルをテコに業務改革し、あるべき姿にもっていく」という今の仕事は、自分のキャリアビジョンに合致していると言います。トリドールホールディングスのビジネストランスフォーメーション本部には窪田のような多彩なキャリアをもつ人材が複数在籍し、さまざまなプロジェクトで活躍しています。現在、社会的にDX人材が不足しているという課題がありますが、このような人材登用やキャリアパスの土壌が社内にあるかもキーとなると考えます。